“Loopback”でmac上のオーディオルーティングを自在に
やっと秋の気配を感じられる程度には涼しくなってきそうで、ほっとしているAzusaです。
本日はmac用の”Loopback“というアプリケーションを紹介いたします。

このアプリケーションは残念ながらフリーではありませんが、macPC内でのオーディオルーティングで困っている方には助けになること間違いなしですので、是非試していただきたいです!
ライセンスを購入して入力しなければトライアルバージョンとして試すこともできますので、動作を確認してから判断するといいと思います♪
“Loopback”とは
さて、”Loopback”はどんなアプリケーションかというと、仮想オーディオインターフェースを作ることができるアプリケーションです。
macではDAW等のマルチチャンネル対応アプリケーションを利用しない場合、多チャンネル対応のオーディオインターフェースを使っていたとしても、オーディオMIDI設定のスピーカーの設定で指定したチャンネルしか利用できません。
例えば、配信等によく利用されている”OBS”では、デバイスの指定はできるものの、チャンネルの指定はできません。
そのため、多チャンネルのインターフェースを使っていても、設定で指定しているステレオの入出力しか利用できません。
しかし”Loopback”を利用すると、仮想入出力に設定で指定していないチャンネルの指定もできるため、DAWのような多チャンネルに対応したアプリケーションでなくともより自由なルーティングが可能になります。
また、仮想入出力から別の仮想入出力に入力したりも自由にできるので、ループバックモードを搭載していないインターフェースを利用している方でもかんたんにループバック処理をすることができますし、ボイスチャットをしながら配信したりする場合の、対話相手への出力と配信への出力も別に作成することができるので、不要な音声は省いて必要な音声のみを送ることが簡単にできます。
ダウンロードとインストール
ダウンロードはこちらのページの”↓ Free Download”と表示されているボタンをクリックするとzipファイルのダウンロードが始まります。
ダウンロードしたzipファイルを解答すると”Loopback.app”というファイルが出てくるので、こちらをダブルクリックすることでインストールをすることができます。
また、この実行ファイルはインストール後の”Loopback”の設定を変えるためのファイルですので、問題なければアプリケーションのフォルダにでも移動させておくといいかもしれません。
インストールするときに実行ファイルの警告が出ますが、”システム環境設定”の中の”セキュリティとプライバシー”で許可してあげてください。
また、インストール後の最初の起動時に権限を許可するためのウィンドウが開きますので、そちらも許可します。
操作方法
さて、インストールが終わるとメイン画面が開きます。
ライセンスを購入して入力していない方は右上にトライアルバージョンと表記されていると思いますが、トライアルバージョンでは実行時間の制限がついているだけで他は変わらないようですので気にしないでください。
トライアルバージョンの許容時間が経過後は音声が酷くなるとのことでしたが、私がいろいろ試したときは特に気になる感じにはならなかったので、ここを見ながらのんびりやっても十分間に合うと思います。
全部英語表示なので嫌な方もいるかも知れませんが、そんなに複雑な感じではなく見た感じで入力や出力を繋いでいくだけですのですぐに慣れると思います。
最初は下記の画像のように左のカラムの”Devices”に”Loopback Audio”というものが表示されていて、右のカラムの”Sources”に”Pass-Thru”と”Output Channels”に”Channels 1 & 2″という画面が表示されていると思います。

まず左カラムの”Devices”は、仮想インターフェースのリストが表示される場所です。
私の場合は、すでに設定されているインターフェースが”Loopback Audio”の他に4つあるので、合計5つ表示されています。
そして右カラムの”Sources”には音声の入力されてくる場所を示しており、”Pass-Thru”の場合は音声の出力先として現在選択されている仮想インターフェース(この場合は”Loopback Audio”)を指定した場合に入力される音声を示しています。
また、”Source”には、物理インターフェースの入力端子や仮想インターフェースからの出力の各チャンネル、特定のアプリケーションの音声も指定できます。
“Sources”に入力を追加する場合は”Sources”の右に表示されている”+”アイコンから追加できます。
削除する場合は、削除したい入力をクリックで指定して、右カラムの左下に表示されている”Delete”で削除することができます。
入力ソースにアプリケーションを指定した場合、追加されたソースに表示されている”Options”をクリックすると、”Mute when Capturing”という項目があります。
これは、対象の仮想インターフェースからの出力が利用されているときは後述する”Monitors”への出力がミュートされる機能です。
録音等をしているときでも音声を聞いていたい場合はチェックを外しましょう。

そして、”Pass-Thru”の1,2から線がのびて”Output Channels”の”Channel 1 & 2″の1,2に繋がっていますが、これは見たままのとおり、”Pass-Thru”から入力された音声が”Channel 1 & 2″の出力にルーティングされるということです。
“Channels”の右の”+”ボタンをクリックするとチャンネル数が増えていき、多チャンネルにも対応できるようになっています。
“Pass-Thru”のチャンネル数はこのチャンネル数に合わせて増減するようになっているので、”Pass-Thru”のチャンネル数だけ増やしたい場合でもここを増やして調整することになります。
そして、最後に何も表示されていない一番右の”Monitors”という項目ですが、こちらは物理インターフェースの出力を指定する項目です。
右に表示されている”+”ボタンをクリックすると物理的なインターフェースを指定するリストが出ますので、この仮想インターフェースに入力された音声を聞きたいデバイスを指定します。
私の環境では出力が4系統あるオーディオインターフェースなので4チャンネルまで表示されています。

このように多チャンネル対応のインターフェースの場合でも自由に出力先を指定することができるので大変便利です。
つながっている線を消すには、線をクリックして右カラムの左下にある”Delete”で消すことができます。
画像のように左右のチャンネルを入れ替えたり、複数のチャンネルへ送信、複数のチャンネルを合わせることなども自由にできます。

基本的に操作はこれだけですので、次はボイスチャットをしながら配信もする場合のプリセットを簡単に作ってみます。
ボイスチャットをしながら配信する場合のプリセットを作る
まず、前提条件として、2in2outのループバック機能無しのオーディオインターフェースを利用していて、自分の声をインターフェースのinから入力するものとして考えていきます。
その上で自分の声とブラウザ(例としてSafariを指定していますが、ゲームの音声ならそのゲームのアプリに読み替えをお願いします。)の音をボイスチャット(ボイスチャットアプリが入ってなかったのでSiriで代用してます。各自DiscordやSkype等に読み替えてくださいませ。)の相手に、自分と相手の声、ブラウザの音を配信にのせるという想定で。
最初にボイスチャット用の仮想インターフェースを作ります。
名称は”VoiceChat”としておきます。
まず、ボイスチャットでの音声配信に必要な自分の声とブラウザの音を”Sources”に追加します。
更に、相手からの音声を受け取るために”Siri”も追加。
で、”Output Channels”の1,2チャンネルでボイスチャット相手に送信するので、自分の声(物理インターフェース)とSafariから出ている線は残して、”Siri”からチャンネル1,2に伸びている線を削除します。
こうすると自分の声とブラウザの音だけが相手に届くようになります。
さて、相手の声が聞こえないとボイスチャットができない訳ですので、相手の声をモニターから出力されるようにルーティングしますが、入力からモニターに直接ルーティングはできませんので”Output Channels”を経由させます。
チャンネル1,2はボイスチャットの相手への送信用で使ってしまっているので、”Output Channels”の右の”+”ボタンでチャンネルを追加して、”Siri”の1,2チャンネルを”Output Channels”の3,4チャンネルへ。
更にそこから”Monitors”の1,2チャンネルへ線を引きます。
こうすることでボイスチャットの相手の音声はモニターに指定したインターフェースから出力されるようになります。
これでボイスチャット用の仮想インターフェースは完成です。

次に配信用の仮想インターフェースを作ります。
名称は”Broadcast”とでもしておきます。
単純明快に”Sources”に”物理インターフェース”、”Safari”、”Siri”を追加でもいいのですが、せっかくボイスチャット用の仮想インターフェースをつくったので、それを利用したいと思います。
といっても簡単で、”Sources”に先程作った”VoiceChat”を追加して1,3チャンネルを”Output Channels”の1チャンネルに、2,4チャンネルを2チャンネルに繋ぐだけです。
これで”VoiceChat”の1,2チャンネルにルーティングされている物理インターフェースと”Safari”の音声と、3,4チャンネルにルーティングされている”Siri”の音声とミックスされて”Broadcast”の出力にルーティングされます。

あとは、ボイスチャットアプリのマイク入力と出力デバイスに”VoiceChat”を、OBS等の配信アプリのマイク入力に”Broadcast”をそれぞれ指定すればOKです。
macOS側で指定する音声のデフォルト出力先は普段どおりで変える必要はありません。
変えてしまうと、ブラウザの出力をモニターにルーティングしていないためブラウザからの音声が聞こえなくなってしまいます。
もちろんアプリケーションごとの振り分けを使わずに”Pass-Thru”とインターフェースの指定のみでルーティングする方法等もありますが、今回はできるだけいろいろな機能を使ってみるとの観点からこういったルーティングにしてみました。
何かわからないことがあればコメントしていただければと思います。
いかがでしたでしょうか?
無料で似たようにルーティングする方法として”SoundFlower”と”LadioCast”の組み合わせがよく紹介されておりますが、開発の終了だったり、M1搭載のmacだと利用できなかったりとで、あまり選択肢があるとは言えない状況ですので今回はシェアウェアではあるものの”Loopback”を導入・紹介してみました。
因みにですが、価格は購入時点で約$110(現在(2022年9月)だと16000円くらい)でした。
支払いはPayPalを利用して安全に…!
すごい円安で海外からの購入は割高感あって辛いですが、オーディオインターフェースを新調すると考えたらそこまで高いものでもないかなと。
ではではまた〜♪