トーン回路の定数を数字で考えて決める

おはようございます。Azusaです!

先日ギターのトーン回路についてより深く理解したいと思い、RC回路と呼ばれる抵抗とコンデンサ各1つで構成された、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタ回路を勉強しました。

勉強と言えるほどの複雑な回路ではないですが、パッシブのギターやベースに内蔵する場合は、回路が簡単で尚且つ省スペースなことは重要ですよね!

ギターやベースのページを見ていると、定数の決め方については「~の場合は~uFを使えばとりあえずOK」的な、曖昧な記事しか見つからなかったので、今回は自分の求めるトーン回路を数字で見ながら構築することを目標に、私なりに程よいと感じた定数についても書いていこうと思います。

RC回路とカットオフ周波数

RC回路とは、抵抗とコンデンサ1つずつのパーツで構成される簡単な回路です。

コンデンサには、交流は通すけれど直流は通さないという性質がありますが、全ての交流を通すというわけではなく、容量が小さいものは高い周波数のものしか通さずに、容量が増えると通す周波数の最低値が下がっていきます。

そして、抵抗にて電圧及び電流を調整してあげることにより、狙った周波数までは通すフィルタ(=ハイパスもしくはローパスフィルタ)を作成することができます。

ハイパスフィルタとローパスフィルタの回路図は以下のようになっています。

コンデンサと抵抗の位置が変わっただけの簡単な回路ですので、電子工作初心者の方でも作りやすいのではないでしょうか。

上記図の抵抗の部分を可変抵抗(ポット)にすることで、カットオフ周波数を変えてトーンの効き具合を調整します。

カットオフ周波数の求め方はどちらの回路も同じで、

カットオフ周波数 = 1 / (2 * π(円周率) * 抵抗値(Ω) * コンデンサの容量(F)

ですが、抵抗値やコンデンサの容量をキチンと計算しないと桁がずれてきますので要注意です。

例として、抵抗値100kΩでコンデンサが0.047uFの場合だと、

1 / ( 2 * 3.14 * 100 000 * 0.000 000 047) ≒ 33.88

となり、カットオフ周波数は約33.88Hzになります。

計算で出た周波数は元の音より3db下がった地点を指していて、電力的には半分になっています。

この結果より、程よい効き具合のトーンコントロールを計算していきます。

ハイパスフィルタの計算

ハイパスフィルタの場合はカットオフ周波数以上を通すということですので、フルテンにしたときはできる限りカットオフ周波数は低く(=限りなくそのままの音を出力する)、絞ったときには程よく低音が削れた状態にするのが理想です。

絞ったときのカットオフ周波数が高すぎるとすべての音が消えてしまうので、適度な位置で留めるために上記の計算を使います。

抵抗・コンデンサの容量のどちらも増えるほどにカットオフ周波数は下がっていきます。

とりあえずポットを100kΩで考えると、0Ω~100kΩまでの可変なので、カットオフ周波数は最低で、

1 / (2 * 3.14 * 100 000 * コンデンサの容量) ≒ 0.00000159 / コンデンサの容量

となります。

最大(抵抗値が0だと無限大になってしまうので100分の1の1kΩとして計算します)だと、

1 / (2 * 3.14 * 1000 * コンデンサの容量) ≒ 0.000159 / コンデンサの容量

となります。

ここで、コンデンサの容量を一般的によく使われているであろう0.047uFにすると、

最低値が約34Hzで、最高値が約3,388Hzとなります。

これくらいならフルテン時にも十分低音は出ますが、絞ったときに結構な高音側まで削れすぎてしまうので、ポットからGROUNDに繋ぐ手前に6kΩ程度の抵抗を挟んで最大値をもっと下げてあげると使いやすくなります。

ローパスフィルタの計算

基本的にはハイパスと変わりませんが、目的とする周波数以下のものを通すので、考え方が逆になります。

最大値はどんなに高くなっても問題ないので、下限値だけを考慮します。

例によって100kΩのポットと0.047uFのコンデンサを使う場合だと、ハイパスフィルタの項目で計算した値から、約34Hzです。

34Hz以下しか出力されないとなると、ギターでは音が出なくなってしまうので引き上げます。

手元にあった3300pFのコンデンサで計算してみると、最低値は約482Hzです。

ちょっと低すぎるかなとは思いますが、あくまでも絞りきった場合ですし、ガッツリ高音を削ってしまいたい人にはいいかもしれませんね。

私はこれくらいの効き具合のほうが好きだったりします。

高音側(1kΩ時)では約48253Hzですし、問題なく高音まで出ますね。

低音側(100kΩ時)は約482Hzで図太い音になりますので気になった方は試してみてくださいね。

総評

ギターとかベースのトーンの回路図とかはネットにたくさん転がってはいるのですが、コンデンサの容量やポットの値についてはあまり詳しく詰めて書いてある記事が見当たらなかったので書いてみました!

トーンの効き具合が具合が物足りないというかたは、自分で計算してリプレースをしてみてはいかがでしょうか。

ではまた~♪

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